ダッチオーブンは、万能調理器具! アウトドアで利用するのはもちろんのこと、家庭のガスコンロで料理する際にも使えるアイテムです。さまざまなシーンで利用できるので、この機会に使い方を覚えましょう!
ダッチオーブンは、西部開拓時代のアメリカ合衆国で使われていたことで有名な分厚い金属製の鍋です。分厚いので熱が均等に伝わりやすく、フタも重いのでパカパカと外れることがない、蒸し料理などもできる万能鍋です。キャンプでの料理やバーベキューの時に仕込んでおけば、あとは鍋が調理してくれるので、コツさえつかめば簡単に調理でき、フタを開けるときのテンションもアガります。みんなでワイワイと鍋を囲んで食べる外料理は格別! もちろん自宅のキッチンでも調理できるので、一つ持っておくと便利なアイテムです。しかも炭火で調理する際に、フタの上にも炭を置けるので、上下から熱を鍋の中に伝えることができます。オーブンがなくても、鍋でオーブン料理が作れるのもダッチオーブンの大きな特徴です。
ダッチオーブンは1台で6役もの利用法があります。ひとつずつご紹介していきましょう。
まずは、「焼く」から紹介します! 鍋で焼くという発想はなかなか思いつかないところですが、ダッチオーブンは均等に火が通りやすいという特徴があるので、焼くのもおすすめです。焼き料理に蓋をするという合わせ技で、焼き目がつきながらも、蒸し料理のように中がふっくらと仕上がります。
炒め料理もお手の物で、特におすすめはオムレツ。熱伝導の良さからか、ふっくらフワッとでき上がります。野菜をダッチオーブンで炒め、その中に卵を入れて。オムレツはフライパンで作るものよりふっくら感の違いがとても分かる料理のひとつです。
ダッチオーブンは、もちろん「煮る」のも得意です。普通の料理用鍋との違いは、フタが重いこと。重いフタが中の空気を逃がさず圧力をかけてくれるので、水蒸気が逃げません。このことを「ウォーターシーリング」といい、具材の中まで柔らかくホロホロとした食感を生み出してくれます。
ヘルシーな蒸し料理は、ダッチオーブンが得意なジャンルのひとつ。水蒸気が全体を覆ってくれて、ふっくらと仕上がります。下に溜まったエキスは捨てずにスープに利用するのもおすすめ。深みのあるスープに仕上がります。
揚げ物もおまかせ。ダッチオーブンで揚げ物をするときは、揚げている時にフタをすることで、具材の外はパリッ、中はフワッというホクホクの料理ができます。骨付き手羽先などは、少ない油で揚げ炒めをするとパリパリっといった食感が味わえ絶品です。
鍋で「燻す」という発想は中々ないかもしれませんが、ダッチオーブンなら燻しも可能です。ダッチオーブンの中にアルミホイルを敷き、その上にスモークチップ、そして網の上に具材を乗せて。スモークは日常生活ではなかなか経験する機会も少ないもの。アウトドア料理の醍醐味でもあります。ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
アウトドアでの使用はもちろんのこと、家庭のコンロでも使えるダッチオーブン。「焼く」「炒める」「煮る」「蒸す」「揚げる」「燻す」と、何パターンもの使い方ができるので、料理の幅がぐっと広がります。パーティーシーンでも鍋をテーブルのメインに置けば、テンションもアガること間違いなし!
重量感があるので持ち運びは少し大変ですが、それ以上のおいしさが待っているので苦になりません。アウトドアシーンでは、鶏肉を丸ごと入れて蒸し鶏にしたり、ご飯ものを作るのもおすすめ。パスタなど一品でご馳走になるメニューもできるので、遊びに熱中して、ちょっと休憩しつつランチパスタという利用法もおすすめです。そしてなにより、簡単調理なのに本格的な味が体験でき、なおかつ調理している最中の写真映えもするので、仲間のワクワク感も高まります。もちろん、蓋を開けるときのドキドキと感動もひとしおです。
日常使いや家庭のコンロでこそ、使って欲しいダッチオーブン。カレーライスや、スープづくりなどの一般的な鍋の利用法ですら、蓋が圧力をかけてくれるので、少ない時間で手軽に料理ができます。そして、朝食やおやつタイムにおすすめなパンケーキも、ふっくらと仕上がるのでおすすめ。
ダッチオーブンのお手入れは、ちょっとしたポイントが必要です。手入れの仕方を説明していきましょう。
シーズニングとは、慣らすことで、出荷段階で錆びないように油が塗られているものを一度丁寧にはがし、植物性油で再び油に慣らすことです。この作業を行ってから初めてダッチオーブンを使用することができます。なお、シーズニングがいらないダッチオーブンも販売されているので、手間に感じる方は、シーズニング作業のいらないものを購入すると良いでしょう。しかし鉄素材のものは、使用後に錆止めとして植物性油を塗るので、気になる方は焼き切ってから使用するか、ふき取ってから使用することをおすすめします。 初めて使う前は、ダッチオーブンの中に水を溜めお湯を沸かします。すると油が浮いてくるので、火傷しないようにブラッシングしてきれいに洗います。その後くず野菜で、炒め物をしてきれいに油を吸わせるという方法もあります。
調理後は、油を新聞などに吸い込ませ水油分をしっかりと落とします。さらに油汚れがひどい場合は、スクレーパーで焦げ付いた場所をこそげ落とすか、それでも取れない場合は火にかけて焦げた部分を焼き切ってしまうという最終手段もあります。その場合は、ダッチオーブンの中にせっかくしみ込んでいた油分まで焼いてしまうことになるので、錆びつかせないためにもしっかりとサラダ油やオリーブオイルを塗ってから保管しましょう。
収納時は、次に使うまで期間が空いてしまうなら、しっかりとメンテナンスをしておきましょう。サラダ油やオリーブオイルを中も外もフタも全てにしっかりと塗ります。そして、鍋は鍋で新聞紙に包み、フタはフタで新聞紙を用い、包みます。これによって、新聞紙が湿気を吸ってくれるので錆びつきにくくなりますよ。空気を循環させるためにも、鍋とフタの間には割り箸などを挟んで、隙間を作っておくのもおすすめです。
アウトドアでダッチオーブンが登場すると、バーベキューより、できたときの盛り上がりが違います。使い方を覚えましょう。
ダッチオーブンは、炭火でも薪でも調理ができます。炭火だと始めに火が付くまで時間がかかりますが、薪だと燃え尽きる前に何度も薪をくべるという作業が入ってきます。どちらもメリットデメリットがあるので、自分がしっくりくるほうで使うと良いでしょう。
薪には、薪を集中して置くと火力が上がり、高く積めば積むほど炎が高く上がる特徴があります。ただ、火が付くまではちょっとしたポイントが必要です。よく見るのが、横、縦、と互い違いに組み上げていく方法ですが、調理時間に対して燃え尽きる時間の方が早いのでおすすめできません。調理には、枕木の上に放射状に薪を組んでいくと火力を調節しやすく、長時間の料理にも向いているので、らせん階段を描くように放射状に組みましょう。細く油分を多く含んだ枝に火をつけ、その枝や松ぼっくりから徐々に太い枝に火を回していくと効率的に火が付きます。
炭は火が炭に定着するまで多くの場合30分ほど時間がかかります。初心者は着火剤や火起こし器を用いて、効率的に火をつけていくことをおすすめします。
ダッチオーブンをもっと手軽に、もっと楽しく使用するためのお役立ちアウトドア料理の商品をご紹介します。
火起こし器は、その名の通り火を起こすために利用するアイテムです。無くても火起こしは可能ですが、用いたほうが断然火起こしが楽になります。火起こし器を使って炭に火を回している間に、料理の準備もできるので時間を短縮できるのがメリット。炭に火が付くまでの時間、うちわで扇ぐ手間も省けます。 >>火起こし器を探す
炭に火をつけるときの必須アイテムでもある着火剤。こちらも無くてもできるのですが、アウトドア料理初心者は着火剤を使うことをおすすめします。タイプも固形のもの、ジェル状のものなどさまざまですが、それぞれ使い方に注意が必要なので、説明をしっかり読んでから使用してください。
お気に入りのダッチオーブンが見つかったら、いよいよ料理をしてみましょう。ほとんどのダッチオーブンがおいしく料理出来ます。一見豪華で手が込んでいそうな料理も、ダッチオーブンが調理してくれます。
ローストビーフといえば、ごちそうの代名詞的存在。火加減が難しそうですが、ダッチオーブンの均一に火が回る特徴にピッタリの料理です。 材料(1人分) 牛ロース肉(ブロック)…500g 塩コショウ…適量 オリーブオイル…適量 ホースラディッシュ…好みで 柚子胡椒などの調味料…好みで 底網(すのこ)…焦げ防止用に1枚 作り方 ~下ごしらえ~ 常温に戻した肉全体に塩コショウをよく手ですり込み、しばらく置いて味をなじませる。 ~調理~ 1. 煙が出るほどに厚く熱したダッチオーブンにオリーブオイルをひき、脂身を下にして焼く。その後、裏側や肉の側面など表面全体にしっかりと焼き目をつける。 2. 肉を取り出し、ダッチオーブンの底に底網を敷いてから、肉を網の上に戻す 3. フタをして中火~弱火でロースト。フタの上に炭や薪をのせて、天火にして、30分位ローストする。 4. ホークなどで肉をさし、好みの焼け具合になったら下火を止め、天火も外します。 5. ダッチオーブンから肉を取り出し、アルミホイルに包んで、温かいところで15分ほど休ませる。 6.肉を切り分け、盛り付ける。柚子胡椒や、ソースをお好みで添えて。
トロっとした仕上がりの中華風煮込み料理。キッチン料理の一品としても、アウトドアの一品としても身体も温まりホッとします。 材料(1人分) (塩豚) 豚肩ロース肉(かたまり)…80g 塩…一つまみ 白菜…1枚(約80g) 長ネギ…5センチ ショウガ…2.5g 酒…小さじ1/2 ごま油…少々 パクチー…適量 作り方 1・豚肩ロース肉に塩を刷り込み、ビニール袋に入れ一晩寝かす 2.白菜はざく切り、長ネギは斜めの薄切り、ショウガも薄切りに 3.1を洗い水けをふいたら、3㎝角に切り、酒とごま油をからめる 4.ダッチオーブンに2を入れ、3をのせてフタをし、火にかける 最後に、盛り付けて、パクチーを乗せたら完成です!
ちょっと変わったオシャレレシピはいかがでしょう。カレー粉やココナッツミルク、ナンプラーでオリエンタル風に。 材料(サバ1尾分) サバ…1尾(約400g) A ナンプラー…大さじ1/2、酒…大さじ1/2 B 小麦粉…大さじ2、カレー粉…小さじ1 サラダ油…大さじ2 赤パプリカ…1個 万能ねぎ…50g ショウガ…10g C ココナッツミルクパウダー…40g、カレー粉…大さじ1、ナンプラー…大さじ2/3、砂糖…小さじ1 作り方 1. サバを三枚におろし、腹骨をすいて、小骨を抜く。一口大に切り、Aで下味をつける 2. 1の水けをとり、Bをまぶしてサラダ油を絡める 3. パプリカ、ショウガを千切りにし、万能ねぎは4cmに切る。Cをからめ、ダッチオーブンに入れ、2を乗せてフタをし加熱する 盛り付けて完成!
アッツアツをいただく鉄鍋ビビンバは、暑い季節にピッタリ。辛さの調節などは、キムチやソースで調節してください。 材料(1人分) 牛カルビ…130g 大豆もやし…130g ほうれん草…1/3束 ゼンマイ…100g きゅうり…50g ニンジン…1/3本 キムチ ごま油 卵黄 焼き肉のたれ お米…1合 水…180cc ~ナムルソースの材料~ しょう油…大さじ1と小さじ2 塩コショウ…少々 ごま油…大さじ1 おろしにんにく…少々 すりゴマ…小さじ2 作り方 ~下ごしらえ~ 1. 牛カルビを焼き肉のたれにつけて、焼く。 2. 大豆もやしは根をとりサッとゆで水を切る 3. 2を熱いうちにナムルソースであえます 4. ほうれん草もサッと茹で、水気を絞り適当な長さに切る 5. 4もナムルソースであえます 6. ゼンマイを湯でこぼし適当な長さに切り、ごま油で炒める 7. ゼンマイを煮る材料で煮含める 8. ニンジンを千切りにしてサッとゆでる 9. 8をナムルソースであえる 10. きゅうりは皮をむき千切りに。ゴマ油でいため、水、おろしニンニク、しょう油少々で煮含める ~作り方~ 1. コメを研ぎ、水と一緒にダッチオーブンの中に入れ、フタをして強火にかける 2. 湯気がフタの間から出てきたら、さらに弱火で15分位炊く 3. 水分がほとんどなくなったら強火で10秒かけ、一気に水けを飛ばし、10分ほど蒸らす 4. 炊きあがったご飯の上に、下ごしらえしておいた具材を乗せ、卵黄を真ん中に落とす。 5. ごま油としょう油をまわしかけ、再びフタをして強火にかける。パチパチっと音がしてきたら火を止め、よく混ぜ合わせ完成。 6. お好みで、コチュジャンをつけても。
ほっくほくの焼き芋も、ダッチオーブンでできちゃいます。
サツマイモ…ダッチオーブンの中に入る量で、食べたいだけ 作り方 1. 芋を洗い、中火で温めておいたダッチオーブンの中に網をひき、サツマイモを入れる 2. フタをして、中火で15分、ひっくり返して15分。硬かったらさらに時間を足して箸がスーッと通る柔らかさになるまで焼く。 完成!(家庭用コンロでは上記の作り方で、アウトドア使用時には、ダッチオーブンの上にも炭を乗せれば裏返す必要はありません。
ダッチオーブンはアウトドアライフの可能性を大きく広げてくれます。また、火の通り方も均一でオーブンとしての機能を存分に果たしてくれるので、さまざまな料理に使えるアイテムです。寒い季節の料理にもおすすめです。ダッチオーブンを使って、オリジナルレシピを作ってみてはいかがでしょう。