テニスコートは、グラス(芝)、クレー、ハードコートなど種類が多彩にあることはご存知でしょうか。
全米オープンや全豪オープンなどインドア・アウトドア、芝などメインコートの違いも話題になります。
そしてそれぞれのコートにそれぞれの持ち味や特徴があり、さまざまなプレイスタイルがあります。
今回はコートの特徴とその種類にふさわしい戦い方や最適なシューズの選び方を解説します。
テニスはコートの種類によって、プレイに個性が出やすい競技と言われています。
気品あるイギリスの試合はグラスコート、情熱的な地中海沿岸の国はクレーコート、論理思考のアメリカはハードコートが似合う・・・。なんだかそれぞれの国民性まで表れているような。
テニスコートはサーフェス(地面の表面)の材質が選手のプレイに影響をもたらします。
そのためそれぞれのコートの特性を知れば、テニスをより楽しくプレイしたりおもしろく観戦できるのです。
コートには次の4タイプがあります。
それぞれのコートごとにさまざまな個性があります。
プロ選手も必ずコートの種別ごとにシューズを履き替えています。
一般にテニスシューズのタイプは、「オールコート用」「オムニ&クレーコート用」「カーペット用」の3種類。
「オールコート用」は、ソール(靴底)がきめ細かい凹凸でできていて、文字どおりすべてのコートに対応したシューズです。
ハードコートではこれを履くことをお薦めします。
クレーやオムニでもほどほどに安定感を発揮します。
「オムニ&クレーコート用」は、地表が砂っぽいコート向けです。
ソールの凹凸の内側がやや大きめ、外側がやや細かめになっており、土や砂がもたらす余計な滑りを抑制してくれます。
メーカーのデザインの品揃えも豊富なので足もとのおしゃれも楽しめます。
「カーペットコート用」は、主に室内向けです。
溝がほとんどなく、つるつるした印象のソールで、カーペットにつまづきにくい構造になっています。
サーフェスのきれいなハードコートでも地面をしっかりグリップしてくれます。
なお、「グラスコート専用」のシューズは一般に市販されていません。
特に日本にはグラスコートがほとんどないので製造されていないのです。
どうしても必要なときはショップに相談して外国製を取り寄せてもらうか、メーカーにオーダーメイドしてもらいましょう。
それでは具体なシューズ提案を交えてみていきましょう。
サーフェスが「赤土+粘土+砂」でできたコートです。
四大大会では、全仏オープンの「スタッド・ローラン・ギャロスコート」が有名です。
ただし日常的な整備がしやすいため、学校のテニス部などでよく使われています。
プレイヤーの足腰への負担が少ないメリットもあります。
そのためサービスエースが取りにくくなります。
また、ボールがそこそこ弾むので、後ろに下がってストロークする戦い方が増えるコートです。
土の表面が滑りやすいので、わざと足をスケート競技のように横滑りさせるフットワーク「スライドステップ」と呼ばれるテクニックも必要になります。
グラスコートはローンコートとも呼ばれ、緑の芝生(グラス)と黄色いボールの美しいコントラストが特徴です。
数あるメジャー大会の中で最も権威があるとされる全英オープンの「ウィンブルドンコート」でもグラスコートが採用されています。
特に四季の気候差が大きく、雨が多い日本では近年、グラスコートはほぼ見かけません。
それほどグラスコートには独特な魅力があるということですね。
弾道が低く、球足が速いのがグラスコートの特性です。
しかも足もとが滑りやすく、ボールもイレギュラーしがちです。
そのため「ビッグサーバー」と呼ばれる強烈なサーブが得意な大柄選手がサービスエースを連発して、タイトルに番狂わせを起こすような試合もよくあります。
攻撃的な選手に有利なので、拾ってつなぐタイプが多い日本人選手には不利なコートともいわれます。
オムニコートは現在、日本で一番多く使われているコートです。
ほとんどの週末プレーヤーがこのコートでプレイしているといっても過言ではありません。
降雨後のコートの乾きが早いので、多くの公営コートに採用されています。
球足がやや遅く、バウンドが低めで、イレギュラーが少なく、足もとがほどよく滑ります。
そのためラリーを続けやすく、足腰への負担も少ないのが特徴です。
雨の多い日本では、大会運営者にとって試合の雨天中止が最大の悩みでした。
そこへ全天候型のオムニコートが登場し、悩みが一気に解消されたのです。
選手からも快適にプレイできるという高い評価を得て、1990年代以降、急速に普及しました。
海外のメジャーな大会で人工芝コートはめったに使われませんが、日本国内では公式試合でもよく使われます。
屋内のテニススクールなどでよく採用されているのがカーペットコートです。
これはハードコートの上に絨毯のようなサーフェス素材を敷いた造りのコートです。
打球音が小気味よく反響する室内コートの風情にも、カーペット材の風情はとてもよく似合います。
足下はハードコートよりストップ性が強いのが特徴です。
一方、適度な柔らかい素材であるため、足腰への負担が少なく、転んでもケガが最小ですみます。
テニスには「四大大会」と呼ばれるメジャー大会が毎年開催されています。
1人の選手が
このようにグランドスラムが難しい理由は、それぞれのコートの質が違うため、選手のプレイに得手・不得手が出やすいからだと言われています。
どの選手がどの大会で大活躍するかに注目して、四大大会を観戦してみるのも面白いかもしれません。四大大会のコートの特徴をご紹介します。
初夏、パリの「スタッド・ローラン・ギャロスコート」で開催されます。
赤褐色のアンツーカー(レンガを砕いた粉)が印象的なコートです。
クレーコートでは、球足が遅く、バウンド後にボールが弾むため、打ち合いに強く、どちらかというと守備的な選手が有利と言われます。
選手たちが、前述の「スライドステップ」をいかにうまく使いこなせるかにも注目して観戦しましょう。
スペインや南米の選手にはクレーコートで育った「クレーコートスペシャリスト」がたくさんいます。
毎年6月の最終月曜日から2週間、ロンドンの「ウインブルドンコート」で開催されます。
最も格式のある大会ですが、激しいプレイが続いた最終日の優勝決勝戦では、鮮やかな緑一色のグラスコートが擦り切れて土が露出し、イレギュラーバウンドが多発しはじめます。
球足が速いため、早い展開で勝負する選手に有利なコートです。
そのため「サーブ&ボレー」という戦法がよく使われます。
これは強いサーブを打ってすぐネットにダッシュし、ボレーで勝負を決めるスピーディーなプレイスタイルです。
8月末、ニューヨークのUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナルテニスセンターで開催されます。
観客動員数、賞金総額とも最大規模のテニス大会です。
ハードコートは、そもそも硬い石製のコートなので不安定要素が少なく、ほぼ実力通りの結果が出やすい大会と言われます。
あえて言えば、ベースライン付近からハードヒットするプレーヤー向きで、サーブが得意な選手にも有利と言えるでしょう。
ちなみに、全米オープンも全豪オープンも、かつての会場はグラスコートでした。
(全米は1974年大会までグラスコート。1975年〜1977年大会がクレーコート。1978年大会からハードコートに改装)
1月後半、オーストラリアの「メルボルン・パーク」で開催されます。
全豪オープンの会場もかつてはグラスコートでしたが、1988年大会からハードコートに改装されました。
全豪オープンのハードコートは、触ればすぐわかるほど柔らかく、球足が遅めのコートです。
全豪と全米はともにハードコートの大会でありながら、両者には大きな違いがあります。
それはコートの差でなく、「気候」の差です。
南半球の1月は「夏」。
北半球から集まる選手たちは体調管理がむずかしく、上位選手が欠場したり、優勝候補選手が序盤で敗退するといった番狂わせが起こりやすいのです。
プロのテニス選手はシューズを1試合に1足ずつ履きつぶすそうです。
それほど激しいフットワークをしているということですね。
あらゆるスポーツでフットワークは大事です。
ケガ予防の意味でも、妥協することなくコートに合わせてシューズを選ぶことをおすすめします。