ボクシングをするにあたって、欠かせない練習方法の一つが「ミット打ち」です。 ミット打ちは、グローブを付けて、相手が構えるミットにパンチを打つという、パンチの上達には最適な練習方法です。 ミット打ちは、ミットと、ミットを持つ相手さえいれば自宅でもできるため、ジム以外の場所でもミット打ちをしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。 とはいえ「どんなミットを選べばいいのか」、また「どんなパンチの打ち方、ミットの持ち方をすればいいのか分からない」という方もいるはずです。 そこで今回は、ジム以外の場所でミット打ちをしたいという方のために、ミットの選び方からミットの打ち方、持ち方など、ミットについて徹底解説していきます。
ボクシングミットは、なぜ「ミット」と呼ばれるのでしょうか? 一般的には親指が独立していて、それ以外の4本の指を一つのスペースにまとめて入れる手袋のことを英語でミットと言います。 野球で使われる「キャッチャーミット」なども、親指以外の部分は一つのスペースに収められるようにできています。 対してボクシングのミットでは、すべての指をはめる部分がそれぞれ独立しているため、厳密にはミットの定義には当てはまりません。 しかしボクシングのミットは、ピッチャーの投球を受けるキャッチャーミットのように相手のパンチを受ける役割であるため、そう呼ばれるようになったのかもしれません。
ボクシングのミット打ちは、おもに以下の目的で行われます。 ・パンチの精度を上げる ・コンビネーションの練習 ミット打ちでは、受け手が構える小さなミットを狙ってパンチを打っていきます。このように小さな的を狙ってパンチを打つことで、パンチの精度を上げる効果があるのです。 またミットの受け手が、打つパンチを次々指示するのに合わせてパンチを打つことで、コンビネーションも習得できます。
サンドバッグもパンチを打つ練習に使う用具ですが、ミット打ちとサンドバッグには、おもに以下の違いがあります。 サンドバッグ ミット 的が大きい 的が小さい 的がほとんど動かない 的が動く 自分のペースでできる 自分のペースでできない 的の大きなサンドバッグと違い、ミットはサイズが小さいため、狙った箇所にピンポイントでパンチを打つ練習になるのです。 またほとんど動かないサンドバッグと違い、ミットには受け手がいて、受け手は動きます。 ミット打ちでは、動く相手に合わせてパンチを打つことで、パンチだけでなく、フットワークの練習にもなり、実戦感覚が養えるのです。 自分のペースでできない点も、ミット打ちとサンドバッグ打ちの大きな違いです。 サンドバッグ打ちでは、疲れたらパンチを打つ間隔をゆっくりにして、休むこともできます。 一方ミット打ちでは、相手の指示に合わせてパンチを出すため、自分のペースでできません。 自分のペースでのんびりやりたいという人にはサンドバッグ打ちのほうがおすすめですが、ダイエットなどにはミット打ちのほうが適していると言えるでしょう。
一口にボクシングミットといっても、サイズ感や形状など、ミットによって様々な違いがあります。 そのため、これからミットを買って自宅でトレーニングしたいという方は、どのミットを選べばいいか分からないという人も多いはずです。 そこでここでは、ボクシングミットを選ぶ際にチェックすべきポイントについて説明していきます。
初心者の方は、なるべく大きめのミットを選ぶのがおすすめだと言えます。なぜなら小さいミットは、小さいぶん、パンチを当てるのが難しいからです。 パンチが当たらなければ意味がありませんから、最初は小さいミットを選ぶのは避けたほうが賢明です。
ミットには平面の「ストレートタイプ」や、パンチを受ける面が湾曲した「湾曲タイプ」など、様々なものがあります。 自分の目的に合わせて、好みの形状を選ぶのも、ミットを選ぶうえで重要です。 ミットの形状の種類とそれぞれの特徴については、後ほど詳しく説明します。
ミットには、パンチを受ける面が固いものから、柔らかいものまであります。柔らかいミットは、慣れないうちからパンチを打っても拳を痛めにくいため、初心者や女性におすすめです。
ボクシングミットは、様々なボクシング用品や格闘技用品のメーカーから販売されています。お目当てのブランドがあるのなら、そのブランドのミットを選ぶのも一つの方法です。
先ほども説明したとおり、ボクシングミットには様々な形状があり、それぞれに特徴があります。ここではボクシングミットの形状の種類と、それぞれの特徴について説明していきましょう。
ボクシングミットのなかでも一番オーソドックスなのが、パンチを受ける面が平らになっている「スタンダードタイプ」です。デメリットが少なく、バランスの良いタイプなので、ミット選びに困ったら、このタイプを選択しておけば間違いありません。
スタンダードタイプに並んで、よく使用されているのが、面がカーブを描いた形状の「湾曲タイプ」のミットです。 湾曲しているぶん、パンチを包み込むように受けられるため、受け手の負担が少ないのがメリットとなっています。
ソフトタイプのミットは面が厚く、柔らかいため、拳を痛めにくいのがメリットです。 初心者の方や女性は、まずソフトタイプのミットを選ぶと安全にトレーニングできます。
小型タイプのミットは、プロボクサーなど上級者向けのミットです。先ほども説明したとおり、ミットは小さければ小さいほど、パンチを当てるのが難しくなります。 小さいミットで練習すれば、それだけピンポイントで精度の高いパンチを打てるようになります。
「スティックタイプ」のミットはその名のとおり、スティック(棒)の形をしたミットです。 小型のミット同様、パンチを当てる面が小さいぶん、パンチを打つほうは、より命中精度を求められます。 受け手はスティックでパンチの打ち手を攻撃することもできるため、パンチを打ちながらディフェンスの練習もできます。
プロのアドバイスから生まれた、ソフトタイプのパンチングミットです。初心者におすすめです。
ミット打ちはパンチを打つほうにばかり注目がいきがちですが、実はミットを持つほうにも技術が要求されます。ミットの持ち方が下手だと、パンチを打つ人も受ける人も、手首などを痛めるリスクがあるのです。 自分のトレーニングのためにミットを購入しても、時には誰かのパンチを受ける側に回ることもあるでしょう。そこでここではボクシングミットの正しい持ち方や、パンチの受け方について説明していきます。
多くのボクシングミットは、受け手の手首を固定するようなベルトは付いていません。そのためミットに手を入れたら、五本の指と手のひらでミットをつかむように持つことで、手をミットにしっかり固定させましょう。 ミットが手に固定されていないと、相手のパンチを受けて、ミットが外れてしまったり、手首を痛めてしまいます。
打ち手と受け手の呼吸が合わないと、ミット打ちはうまくできません。基本的にミットを持つ側は、パンチを打つ側をリードする役割があります。 ただミットを構えるだけでなく、相手の出したパンチに合わせて、自分からミットを当てにいく必要もあるのです。 そうやって互いにパンチとミットを当て合うことで、打ち手と受け手の呼吸が合い、良い練習ができるようになります。
先ほどミットを持つ側は、相手のパンチに自らミットを当てにいくと説明しましたが、あくまで軽く当てるようにしましょう。 相手のパンチをミットで押し返すようなことをすれば、パンチを打つ側が手首を痛めてしまいます。 ミットを受ける側は、パンチを受けたら、パンチの威力を後ろに逃がすのが基本です。 威力を逃がすことで、パンチを打つ側は手首を痛めず、打ち抜くパンチを打てるようになります。 https://www.youtube.com/embed/mMhWP6vRmWM
先ほども説明したように、ミット打ちはコンビネーションを習得するのに最適な練習方法です。 コンビネーションとは、単発のパンチではなく、流れるように連続で出すパンチの組み合わせのことを言います。 試合でコンビネーションを使うことで、より効果的に対戦相手にダメージを与えられます。そのためボクサーにとって、コンビネーションの習得は欠かせないものなのです。 「ワンツー」を始め、ボクシングのコンビネーションには、実に様々な種類があります。ここではボクシングのコンビネーションのなかでも特に基本的なものを、動画で紹介していきましょう。
ワンツーはボクシングのコンビネーションのなかでも、もっとも重要で、最初に習うコンビネーションです。ワンツーの「ワン」はジャブのことで、「ツー」は利き腕でのストレートを指します。 ワンツーのやり方は、以下のとおりとなっています。 1. 構えてから、利き腕とは反対の前手で素早くジャブを出す 2. ジャブを打ったら、打った手を素早く元の位置に戻す 3. ジャブを戻すのと同時に、反対の手でストレートを打つ 4. ストレートを打った手を、素早く元の位置に戻す ワンツーはボクシングのコンビネーションのなかでも基本中の基本なので、必ず習得するようにしましょう。 https://www.youtube.com/embed/TqFDc6E14YU
「ワンツー・フック」は、先ほどやり方を説明したワンツーにフックを組み合わせたコンビネーションです。 ワンツー・フックのやり方は、以下のとおりです。 1. ワンツーを打つ 2. ストレートを打った際、右利きなら体を左に、左利きなら体を右にねじる 3. ストレートを打った手を戻すのと同時に、ねじった体を元に戻しながら、ストレートを打った手とは反対の手でフックを打つ ワンツー・フックでは、ストレートを打った際にねじった体を元の位置に戻すことで反動が生まれます。この反動を利用してフックを打つことで、強いパンチが打てるようになるのです。 https://www.youtube.com/embed/KNDtqqX-A7Q
「ワンツー・アッパー」は、ワンツーの後にアッパーをつなげるコンビネーションです。 ワンツー・アッパーのやり方は、以下のとおりです。 1. ワンツーを打つ 2. ストレートを打った際、右利きなら体を左下に、左利きなら体を右下に少し沈める 3. ストレートを打った手を戻すのと同時に、沈めた体を元に戻しながら、ストレートを打った手とは反対の手でアッパーを打つ ワンツー・アッパーでは、ストレートを打った際に体を少し沈め、沈めた体を元の位置に戻すことで体が伸び上がります。この伸び上がりを利用することで、アッパーを強く打てるようになるのです。 https://www.youtube.com/embed/9i82UcVXjcI
ボクシングをするうえで、ミット打ちは絶対に欠かせない練習方法です。ミット打ちをすることで、パンチの精度が上がり、コンビネーションも習得できます。 ミット打ちはジムでトレーナー相手に行うのが一般的ですが、ミットと持つ相手がいれば、自宅でもできます。自宅でもミット打ちをやりたいという方は、ぜひこの記事を参考にして、自分に合ったミットを選んでみてはどうでしょうか。